うつ病(鬱病)の症状
現在病の一つとしてうつ病(鬱病)がありますが、うつ病は、全世代で発生する可能性のある病気です。
一生に一度、男性は約10人に一人、女性では約10人に2人くらいの 割合でうつ病を経験するようです。
人間の心は日々浮き沈みがあり、心がうきうきしたり、落ち込んだり傷ついたりして暮らしています。
ところが、心が落ち込んだり沈んだりしたままの状態が、長く続いて回復しないことがあります。
このような状態が2~3週間も続くような場合を「うつ状態」といい、放置しておくと、やがてうつ病を発症することになります。
うつ病は、精神的にも肉体的にも症状があらわれます。
精神的には、気分が重く、集中力がなくなり、今まで好きだったことにも興味関心をなくし、 何をするにもおっくうになります。
肉体的には、よく眠れなくなり、夜中や朝方早くに目がさめたり、頭痛、耳鳴り、めまい、首や肩のこり、体がだるく慢性的な疲労感、食欲不振等、 原因不明の体調不良が次々と続きます。
うつ病の特徴
うつ病の特徴として朝起きたときには、憂うつで悲観的な気分が非常に強く、 時間が経過し夜が近づいてくるにつれてだんだんと憂うつな気分が薄れていくような傾向があります。(日内変動)
よって、ほとんどの人がうつ病が治ったわけでもないのに、少し気分が良くなったからと いって無理をして、翌日また症状が悪くなり1日の気分のゆらぎがだんだんと激しくなって、さらにうつ病の症状を悪化させてします。
うつ病は、この状態が長く続くと、頭の中が否定的絶望的なマイナス思考で いっぱいになり、自分に自身がなくなり、自分を責めたり、ささいなことから不安に 陥ったりして自殺したいという衝動にかられたりします。
うつ病の原因
うつ病になる原因は一つではありません。
体の病気が原因で発症する場合とストレスが引き金となり発症する場合があります。
うつ病は、結果的には脳内の神経伝達物質であるセロトニンの減少によって引きおこされます。
脳内には神経細胞同士の連絡役のシナプスがあり、このシナプスの間を神経伝達物質が動き心の活動が成り立ちます。
脳から体や心への命令は、神経伝達物質とホルモンを伝達して行われます。
特に神経伝達物質であるセロトニンは心と体を活性化し気分、意欲、食欲など を神経に伝達します。
しかし、ストレスなどなんらかの理由で神経伝達物質であるセロトニンの伝達量が減少すると気持ちの活性化が伝達できずに結果的に憂うつな気持ちを心の中に引きおこし、この状態が慢性的になりうつ病を悪化させると考えられています。
うつ病の治療法
うつ病の治療法としては、薬物療法と十分な休養、心理療法です。
うつ病は、適切な治療を受ければ普通半年から1年くらいで治癒回復していきます。
まず、薬物療法は抗うつ薬が使用されます。
初期のころには三環系、四環系抗うつ薬がありましたが、最近では、副作用が少ない抗うつ薬でSSRIやSNRIというタイプがでています。
抗うつ薬を投与することにより、さきほど説明した心と体を活性化し気分、意欲、食欲などを神経に伝達する神経伝達物質であるセロトニンの量を正常に近い状態にします。
次に休養は、非常に大切です。
うつ病の人は、まじめな人、責任感が強い人が多く「病院に行ったり休養したら 仕事が遅れ、周りの人に迷惑がかかる」などと受診休養を拒んだりすることがあります。
しかし、うつ病には心と体をまず一番に考えゆっくりと休養をとり、疲れなどを癒すことが大切です。
長い人生の充電期間と考えゆっくりと休むことも大切です。
うつ病は、なまけているわけでもなく、根性や精神的な心の弱さや本人の努力不足が原因でもありません。
脳の神経伝達物質の異常が原因ですし、うつ病は、病気です。
ですから、医師の指示に従い、まず抗うつ薬で症状を押さえながら、あせらずにじっくりと治療に取り組むことが肝心です。