人が抱える心の問題を解決するために心理療法やカウンセリングの技法が用いられますが、方法がよく似ている部分もあります。
ここでは、どのような症状が心理療法やカウンセリングの対象になっているかを見ていきましょう。
心理療法とは何か
心理療法は、心理学での呼び方ですが、医学では精神療法といい、英語ではサイコセラピーとも呼ばれます。
心理療法では、心や精神に次のような深刻な問題を抱える人に対して、治療を施し、症状を改善させることが目的になります。
- 重度の躁うつ病
- 重度の神経症
- 統合失調症(精神分裂病)
- パーソナリティ障害
- 自殺念慮
- 摂食障害 など
心理療法の源流と技法の流れ
心理療法も様々な手法がありますが、これらの源流となるものは、精神分析療法、行動療法、来談者中心療法の3つに尽きます。
また、心理療法の技法についても、この3つの流れが基になっています。
考案者 |
心理療法 |
心理療法 |
フロイト | 精神分析療法 | 力動論的アプローチ |
ウォルピ、 アイゼンク |
行動療法 | 行動論的アプローチ |
ロジャーズ | 来談者中心療法 | 体験論的アブローチ |
カウンセリングとは何か
カウンセリングの対象は健常者が主になり、人間的な成長を援助したり心の問題を解決するために、コミュニケーションを通じて行います。
カウンセリング対象者は、程度の差はありますが、躁うつ状態になっている場合が多く、家族の死亡、リストラ、いじめ、失恋、入試失敗などの悩みや問題を抱えています。
カウンセリングで扱う内容は、比較的軽い悩みでもある恋愛相談や進路相談、深刻な問題になると自殺念慮、不登校、摂食障害など広範囲に渡っています。
カウンセリングもは精神分析療法、行動療法、来談者中心療法の流れをくんでいます。
また、目的面からカウンセリングは次の2種類に大きく分かれます。
- 治療的カウンセリング…行動の変容を目的とするもの。
- 開発的カウンセリング…クライエントの成長を目的とするもの。
さらに、カウンセリング技法も、次の2種類に分けられます。
- 教育モデル…指導・助言的な技法
- 成熟モデル…自己成熟過程を促進する技法
カウンセリングと呼ばれる相談業務もいろいろ存在しますが、その中でも人間の心の問題に対する相談援助行為を心理カウンセリングといいます。
現在では、結婚カウンセリング、就職カウンセリング、美容カウンセリングなど、専門的な相談援助行為という意味合いで広く世間で使用されています。
症状に対する心理療法(精神療法)とカウンセリングの対象範囲
症状に対して、カウンセリング、心理療法(精神療法)、薬物療法での対象範囲は次のようになります。