知能検査とは何か
知能検査は心理テストの一種で、知的障害を発見するための手法として主に使用されています。
知能検査がなぜ開発されたかというと、知的障害児に対して適切な指導を施すことができるようにという目的で、1905年にフランスで開発されました。
開発者したのは、1857年生まれでフランスの心理学者であったビネーです。
ビネーは、政府からの依頼で知的障害児を識別するため、ビネー式知能検査を考案した創始者でもあります。
ビネーは、知能についての能力には、次の3つがあると定義しています。- 一定の方向を維持する能力
- 目的達成のために適応する能力
- 自己批判する能力
100%の精度ではありませんが、ある程度の効果を上げることができたビネー式知能検査は、世界各国でも使用されるようになり、日本国内でも、各都道府県にある児童相談所で知能検査が活用されています。
IQ(知能指数)とは何か
IQは、「Intelligence Quotient」の略で、知能指数とも呼びます。
知能検査を実施した結果、精神年齢が分かりますが、この精神年齢を実際の生活年齢で割り、100を掛けて算出される値をIQ(知能指数)といいます。
IQの算出法と評価値について
IQの算出法は次のようになります。
IQ(知能指数)=精神年齢÷生活年齢×100- 精神年齢:知能検査を実施した結果
- 生活年齢:現在までの実年齢
IQが100の場合:
精神年齢と生活年齢が一致している
IQが100以下の場合:
精神年齢が生活年齢より低い
IQ 100を標準として、100より数値が高いか低いかで知能レベルをを判断します。
文部科学省では、IQのレベルにより次のように定めています。- IQ25以下の場合:重度の障害
- IQ25~50の場合:中度の障害
- IQ50~75の場合:軽度の障害
また早熟児であるほどIQの数値が高くなる傾向にありますが、年齢が上がるにつれてIQも平凡なレベルに落ち着くことが多く、成長と同時にIQも必ず発達するとは限りません。
知能検査が開発された経緯
ビネーが政府から依頼され、知的障害児を識別するためのビネー式知能検査を考案してからは、次のような流れで知能検査の方法が開発されてきました。
年代 |
国 |
検査名 |
開発者 |
対象 |
1905年 | フランス | ビネー式知能検査 | ビネー、シモン | 3~13歳 |
1908年 1911年 | ビネー式知能検査 改訂 | ― |
― |
|
1916年 | アメリカ | スタンフォード・ビネー知能検査 | ターマン | 3~16歳 |
1937年 | スタンフォード・ビネー知能検査 改訂 | ― |
2~16歳 | |
1941年 | 日本 | 鈴木ビネー知能検査 | 鈴木治太郎 | 2~23歳 |
1954年 | 日本 | 田中ビネー知能検査 | 田中寛一 | 2歳~成人 |
歴史上の有名人物の幼少年期の推定IQ値
歴史上で人類に貢献できるような業績を残した天才といわれる人物は、IQ値も高かったことがわかります。
推定IQ |
人物 |
専門分野 |
185 | ゲーテ | ドイツの詩人 |
180 | パスカル | フランスの哲学者、思想家、数学者、キリスト教神学者 |
150 | デカルト | フランスの哲学者、数学者 |
モーツァルト | オーストリアのクラシック作曲家 | |
145 | ガリレイ | イタリアの物理学者、天文学者、哲学者 |
ミケランジェロ | イタリアの芸術家 | |
140 | 坪内逍遥 | 日本の小説家、評論家、翻訳家、劇作家 |
135 | 野口英世、 ベートーベン ダーウィン ナポレオン | |
130 | ニュートン | |
128 | 石川啄木 | |
125 | リンカーン |