面接は心理療法に於いて基本中の基本となる技法です。
心理カウンセラーは、クライエントとの座り方や距離を考え、非言語表現を注意深く観察する必要があります。
座り方と距離について
現在行われている心理療法では、クライエントと心理カウンセラーは、共に椅子に座った状態で対話することが一般的です。
しかし、フロイトが考案し提唱した精神分析療法では、寝椅子にクライエントを寝転がせ、寝椅子の背後にカウンセラーが座ってクライエントが心の声を思いを起こすのを妨げないようにしていました。
心理療法に欠かせない面接での座り方には、主に次の3つの方法があります。
面接を行う際の座り方について
対面法
対面法は、机を間に挟んでカウンセラーとクライエントが向かい合い座る方法です。
現在では、座る位置を少し斜めにずらして座る場合がほとんどです。
対面で真正面に向かい合うとクライエントが緊張し対話しにくくなるからです。
直角法
カウンセラーとクライエントが机の角を間に挟んで、直角になるような状態で座る方法です。
直角法では、正面を向いてもお互いの視線が直接合わないので、クライエントが緊張せずに対話することが出来ます。
平行法
カウンセラーとクライエントが横に並んで座る方法で、カウンセラーがクライエントが作成した作品などを一緒に見るという描画療法などの場合に用いられます。
平行法では、視線が合うことはありませんが、お互い真横で距離が近くなり、親近感を持って対話することができます。
非言語表現について
面接での言語によらない意思の伝達や交信のことを非言語表現といい、身振り、姿勢、表情、視線、話し方の抑揚などが非言語表現に含まれます。
心理カウンセラーがクライエントと面接を行う際の注意すべき点は、クライエントがしゃべっている言語ばかりに意識を向けるのではなく、非言語表現についてもしっかりと注力し観察する必要があります。
非言語表現をよく観察することにより、クライエントがカウンセラーを十分信頼していなかったり、緊張したり、うまく言葉で表現できない場合でもクライエントの気持ちを推し量ることが可能です。
クライエントが体を引いたり、顔をそむけるなど注意散漫な態度をとることが多い場合は、話の内容に興味がないことが多く、手で頻繁に顔を触ることが多い場合は、うそをついている緊張感から反射的に、このような態度を取ることがあります。
逆にクライエント自身もカウンセラーの態度をよく観察しており、否定的な非言語表現をカウンセラーが行っていると会話に壁ができ面接が思うように進まない原因になるので注意が必要です。
非言語表現の具体例
手で鼻や口を触る
うそをつくことにより、人は緊張から鼻腔や口の粘膜が乾燥するので、刺激を感じ手で触りたくなります。
視線をそらす
やましい何らかの気持ちを相手に抱いている場合、相手と目をそらすことで距離を取ろうとします。
腕や足を組む
相手を受け入れることが出来ず距離をおこうとしている場合、無意識に腕組みや足組みをして自分を守ろうとします。
うなずく
相手に対し共感したり興味・好意を抱いている場合、相槌や頷きが多く、目をしっかりと見開いて身を乗り出したりすることも多くなります。