臨床心理士とは
臨床心理士は、心理カウンセリング資格の中では、特に取得条件が厳しく、心理学の高度な専門知識とカウンセリング能力が求められる「心の専門家」で最高峰に位置づけされる代表的な資格です。
臨床心理士資格は、臨床心理士養成大学院(指定大学院)の修士課程で臨床心理学を学び、資格審査に合格しないと取得することができません。
臨床心理士は、医療、福祉、教育、産業、司法・矯正の分野の各施設・機関が実際に働く職場になります。
中には心理相談所などを独立開業する場合もあります。
スクールカウンセラーと言う言葉は、最近では一般的になりつつありますが、90%以上の方が臨床心理士の有資格者だとといわれています。
文部科学省がスクールカウンセラーを管理していますが、現在、厚生労働省も精神衛生に注力しており、児童養護施設などに心理療法ができる職員を配置しています。
以上のように、臨床心理士が活躍できる分野は広がっているにもかかわらず、資格取得者の絶対数は不足しているようです。
臨床心理士のような心の専門家は、「心の時代」といわれている現在では潜在的需要は高く、今後ますます必要になるものと推測されています。
因みに、スクールカウンセラーの仕事は、下記の2.臨床心理的援助と3.コミュニティ援助を合わせたような仕事内容になります。
臨床心理士の実際の仕事内容とは
臨床心理士の専門業務は、主に下記の4つがあり、「臨床心理士資格審査規定(第11条)臨床心理士に求められる固有な専門業務」として明記されています。
- 臨床心理アセスメント
面接や行動観察、各種の心理テストなどによって、クライエントをよく知り、どのような援助方法が適切であるかを総合的に判断する。 - 臨床心理的援助
臨床心理学の専門技法を用い、心の問題に対するカウンセリング(相談援助)、さまざまな心理療法を行う。 - コミュニティ援助
クライエントの問題を解決するためには、本人だけでなく、本人を取り巻く環境への働きかけが必要となり、特に保健センターや児童相談所、家庭裁判所などの専門機関で働く臨床心理士の仕事領域であるといえる。
- 研究法
基礎となる臨床心理学的研究活動を上記1~3項の実践をより豊かなものとするために行う。
- 行動観察:クライエントの行動を観察することでアセスメントを行います。
- 心理療法:クライエントとの面接は、心理療法でも特に重要な要素です。
臨床心理士の職業倫理について
人生経験、または熱意や意欲だけでは、臨床心理士の仕事は務まらないとよく言われます。
臨床心理士は心の専門家と言われるだけに、心理臨床には専門的な知識や能力だけでなく、人間的資質、倫理観が大きく問われる職業で、ここが他の専門家とは異なる点でしょう。
この点については、日本臨床心理士資格認定協会の「臨床心理士倫理綱領」にも次のように記載されています。
臨床心理士は基本的人権を尊重し、専門家としての知識と技能を人々の福祉の増進のために用いるように務めるものである。
そのため臨床心理士はつねに自らの専門的な臨床業務が人々の生活に重大な影響を与えるものであるという社会的責任を自覚しておく必要がある。
したがって自ら心身を健全に保つよう努め臨床心理士に付与される倫理綱領を遵守する義務を負うものである。