1.学校心理士の仕事
学校心理士の資格認定団体は、一般社団法人学校心理士認定運営機構になり、資格種類は、学校心理士スーパーバイザー・学校心理士・学校心理士補がありますが、有資格者総数は、2017年初で約4千人が認定されています。
学校心理士は、子供の親や教育現場の教師、児童を取り巻く生活環境全般を考慮して心理面でのカウンセリング・援助を実施します。
現在の教育現場では、いじめが大きな社会問題になっており、その結果、不登校やひきこもり、最悪の場合は自殺者まで出るなど様々な問題が渦巻いています。
さらに発達に障害を生じる学習障害に苦しむ児童や生徒も少なくありません。
このような状況は児童個人の問題ではなく、教師や保護者にとっても深刻な問題です。
学校心理士は、このような問題を抱える児童の心理や健康状態、社会性、勉強や進路などに関して、学校における各種問題を解決できるよう支援を行い、健全な成長を手助けするプロの心理職です。
子どもに関して心理状態や生活環境などを総合的に理解し、子供たちのよき相談相手ともなる存在を目指します。
2.学校心理学とは何か
学校心理学の学校は学校教育のことを意味し、心理学は心理学を論拠にした援助活動を意味します。
具体的には、子どもたちが抱える心の問題を解決し、心が健全に成長できるようにするための理論や実践技術などの心理的手法を学ぶ学問と言えます。
その対象は子どもだけでなく、教師や保護者も含まれ、三位一体となって連携・協力して援助を実施するので、学校心理士の活動基盤になります。
3.学校心理士の役割
- 教育的アセスメントにより児童を取り巻く環境全体を把握します。
- 児童の自己効力感・自尊感情を促すために、直接心理療法やカウンセリングなどを行い援助します。
- 自尊感情とは、自分には価値があり尊敬されるに値する人間だと思える感情のこと。
- 自己効力感とは、自己に対して信頼し有能であると思える感情のこと。
- 教師・親・児童の実態や状況を検討するため保護者や教師へのコンサルテーションを行います。
- 学校心理学の専門的スキル(理論・技能)に基き、学校へもコンサルテーション等の心理教育支援を行い、学校組織として子どもの各種問題に対処できるようサポートしていきます。
4.学校心理士の職場
学校心理士として働ける職場は、教育現場である小学校、中学校、高等学校、各種特殊教育学校、教育センター、教育相談所、教育委員会委託の相談業務などが該当します。
5.学校心理士の資格取得までの流れ
学校心理士認定運営機構について
学校心理士の認定機関は学校心理士認定運営機構ですが、この組織は学校教育に関する次の5学会が連携して創設された認定団体です。
- 日本教育心理学会
- 日本特殊教育学会
- 日本発達障害学会
- 日本発達心理学会
- 日本LD学会
ちなみにLDとは学習障害のことで、教育と心理の中間に位置する学問になり、障害児を対象とした特別ケアも対象になります。
試験内容
試験を受けるには、学会への会員入会や養成講座の受講などは不要で、提出された申請書類と試験結果などを総合的に審査して合否判定が下されます。
但し、学校心理士の資格試験や申請条件は、かなり高いレベルが求められるので申請条件は事前によく確認しておきましょう。
この申請条件は6つの類型があり、大学院修士あるいは5年以上の実務経験が求められます。
また、資格を取得しても、その後は5年ごとに更新する必要があります。
資格の種類は、学校心理士スーパーバイザー、学校心理士、学校心理士補の3種類がありますが、学校心理士補は2017年以降は廃止となっています。
学校心理士補の認定対象者は、大学院修了者でも実務経験が1年に満たない者が対象でした。
資格名 | 学校心理士 |
受験申請 資格 |
受験申請については、次のような対象者別に申請類型として区分され、それぞれ条件が決められており、詳細は学校心理士認定運営機構のホームページでの確認が必要です。
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申請期間 | 5月~6月 |
試験日 | 8月 |
試験場所 | 東京、大阪 |
試験科目 |
審査は次の内容を総合的に勘案して合否判定が行われます。
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合格発表 | 10月~11月 |
認定審査 費用 |
32,400円(税込) |
資格登録 費用 |
50,000円 (登録料:2万円、5年分会費:3万円) |
資格更新 | 5年毎 |
主催団体 | 一般社団法人 学校心理士認定運営機構 事務局 |
問い合わせ | 〒113-0033 東京都文京区本郷 2-32-1 BLISS 本郷ビル 3F TEL: 03-3818-1554 |