箱庭療法は、言葉で表現することが大人ほど発達していない子どもに有効な心理療法で、木箱に砂を入れておき、その中でおもちゃや人形などを配置して子供の好きなように箱庭を作らせていきます。
箱庭療法とは何か
箱庭療法は、少児科医であったイギリスのローエンフェルトが元々考え出したものを、心理療法家であったスイスのカルフが完成させた療法です。
箱庭療法は、木箱に砂を入れておき、その上にミニチュアの人形などを好きに配置させて作品を完成させる課程を通じて、心の中に抱いている様々な思いを見える形で顕在化するもので、自己治癒力を目覚めさせる効果もあるともいわれています。
箱庭療法は、遊戯療法の一種で子ども向けの療法としてローエンフェルトが当初考えだしたものです。
特に子どもの場合、難しい概念であるほど語彙も豊富でなく大人のように言葉豊かに表現することが出来ないので、見てわかる形で自己表現できる箱庭療法は有効な非言語的手段と言えます。
また、日本でも箱庭療法は有名ですが、日本で広めたのは、心理学者であった河合準雄です。
当時、カルフから河合準雄がスイスへ留学していた時に学び受け、精神的なものを大切にする日本人の民族性に馴染む心理療法であると直感しその後日本で急速に広められました。
箱庭療法の実施方法
- 箱庭を準備する。
- 縦57㎝、横72㎝、高さ7㎝の木箱を用意する。
- 箱の内側は青く塗り、水をイメージしやすいようにする。
- 砂を箱の深さ1~2㎝まで入れる。
- 人形、動物、植物、建築物などのあらゆる種類のミニチュアのおもちゃを用意するが、使用するミニチュアは、カウンセラーが状況や好みで選択して用意するケースが多い。
- カウンセラーは、砂とおもちゃを使って箱の中に好きなものを作るようにクライエントに説明する。
その際 、どんな作品を作っても否定せず安心できるような雰囲気を醸し出し、受容的に対応するように心がける。
- 箱庭をクライエントが作る時間は15~30分ほどに設定し、カウンセラーはじっと静観して見守る。
その際、箱庭作りの段階をよく観察し、何を表現しているかを読み取ることに集中する。
- 箱庭作りが完了すれば、クライエントに何ができたか説明してもらうと同時に、どういう思いで、どのようなことを意識しながら作業を行ったか理解できるように努める。
その際、この箱庭療法はクライエントが自己認識を深めることが目的なので、クライエントがうとましく感じるほど、しつこく掘り下げて尋ねたり批評を加えたりしないこと。
箱庭療法と治療者の理想のあり方
- クライエントの目的は、箱庭作りを通して内面を表現し、自己治癒力を活性化することにあります。
- カウンセラーは、一緒に参加しながら完成品のテーマ、作品のまとめ方、場所の使い方を慎重に観察します。
- そこからクライエントは箱庭を作る際に何を考え感じながら取り組んだのかを理解します。
箱庭の作品から見るクライエントの心の変化
- クライエントが箱庭療法に取り組み始めた最初の頃は、心の不安定さが反映し、バランスの悪い作品が作られるケースが多くあります。
- その後、クライエントの心の内面が良い状態になってくると、箱庭作品もバランスの良いものへと変化していきます。