臨床心理士の資格を取得するには、日本臨床心理士資格認定協会が指定する大学院を修了し、かつ相当の心理臨床経験を積んで、ようやく資格審査の受験条件を満たすことができます。
臨床心理士の資格は、受験資格のハードルの高さや医療機関からの高い信頼性などから、心理カウンセリング資格の中でも最高峰の資格になります。
1.臨床心理士の受験資格と合格までのルートについて
臨床心理士の受験資格を得るには、基本的に1種指定大学院又は2種指定大学院を修了することが前提となっています。
但し、外国などで指定大学院と同等以上の教育歴があったり、医学部卒で医師免許を取得したりしている場合には、2年以上の心理臨床経験があることで受験が可能になります。
因みに1種指定大学院とは、臨床心理士の教員が5人以上で、実習のための心理臨床センターが学内にあるものをいい、2種指定大学院とは、臨床心理士の教員が4人以上で、心理臨床センターはなく、学外で1年間以上実習が必要なものをいいます。
臨床心理士の受験資格を得るには、下記図で示すルートがありますが、そのいずれかを満たさなければ受験できません。
2.臨床心理士の試験内容について
資格審査には、筆記試験と口述面接試験の2段階があります。
一次試験(筆記試験)
筆記試験の成績が一定の点数に達した人だけ、面接試験を受けることができます。
筆記試験は、「多肢選択方式試験」と「論文記述試験」が行われます。
多肢選択方式試験とは、臨床心理士の4つの業務内容に関する基礎的問題が100問、マークシート方式で出題されます。
論文記述試験は、試験当日に用意されたテーマ3題から1つを選択し、1001字以上1200字以内で心理臨床に関して論述する小論文も出題されます。
二次試験(面接試験)
口述面接試験は、2名の面接委員によって行われ、受験動機、専門知識、研究姿勢、臨床の仕事内容、資質、今後の抱負などについて質問されます。
試験日・試験場所
試験は年に1回、10月から11月の秋頃に東京で実施されています。
受験料
- 申し込みの資格申請書類:1,500円
- 資格審査料:30,000円
- 合格後の登録料:50,000円
合格発表
一次試験:筆記試験(10月頃)
結果発表は2週間以内
二次試験:口述面接試験は一次試験通過者のみ(11月頃)
合格発表は12月頃
合格率と認定者数
平成26年度(2014年)の合格率は、2664名が受験し1610名が合格で60.4%の合格率となっています。
平成15年~26年度までは60%代の合格率で推移しています。
資格認定は昭和63(1988)年から始まりましたが、平成27(2015)年4月1日現在までの「臨床心理士」の総認定者数は29,690名です。
臨床心理士資格の更新制度について
臨床心理士には、5年ごとの資格更新が義務付けられています。
車の免許更新制度と同じようなシステムになっていますので、下記の更新要件を満たせなければ資格失効となります。
臨床心理士の資格発効日から5年以内に次の6項目の、1項と2項のいずれかを含めた3項目以上にわたって参加又は発表し、必要なポイントを取得することで資格を更新することが出来ます。- 日本臨床心理士資格認定協会が主催する「臨床心理士のための研修会」「心の健康会議」への参加
- 日本臨床心理士会が主催する「全国大会」、および地区または都道府県単位の当該臨床心理士会が主催して行う「研修会」への参加
- 協会が認める関連学会での諸活動への参加
- 協会が認める臨床心理学に関するワークショップまたは研修会への参加
- 協会が認めるスーパーバイザー経験
- 協会が認める臨床心理学関係の著書の出版
以上、臨床心理士の試験内容について解説してきましたが、受験を検討している場合は、日本臨床心理士資格認定協会のホームページで最新情報について確認することをお勧めします。
主催団体・問合せ先
〒113-0033 東京都文京区本郷2-40-14 山崎ビル7階公益財団法人 日本臨床心理士資格認定協会