交流分析士の認定資格には、日本交流分析学会と、日本交流分析協会の2つの資格がありますが、ここではNPO法人日本交流分析協会認定の交流分析士について見ていきましょう。
この2つの認定資格ともエリック・バーンが提唱した「交流分析(TA)」という心理療法を基盤としており講座受講後、試験に合格することで有資格者となれます。
1.日本交流分析協会が行う交流分析士の特徴
交流分析(TA)は、一見すると複雑そうに思える人の心を誰にでもわかりやすく説明した心理学で、医学分野においても研究は盛んに行われています。
日本交流分析協会では、TA理論を医学治療を対象とせず一般の日常生活で発生する様々な問題を解決することに限定し、一般社会での交流分析の普及に注力しています。
全国にある各支部では、良好な人間関係を基盤にして営まれる良き社会を実現することを目標にTAを活用するという考え方に基き、一般向け講座が行われています。
教育・福祉・産業・行政などの各分野で、心身における自己の気づきや自律心の向上、生きがいや働きがいを感じれるような明るい社会を実現するためにTA理論を活用しようとしています。
自分の心をしっかりと理解できれば、それに伴い相手の気持ちや心も理解できるようになり、円満な対人関係作りもスムーズに行うことができます。
具体的には、日本交流分析協会では、良好な家族関係の構築、組織内の良いチームワーク作り、徹底した顧客満足度の高いサービス提供、人を尊重できる経営管理者養成、教育機関・行政団体・民間企業のリーダーシップ向上、癌などで余命告知された終末期の方に対する良き聴き手などの役割を全うしようというのが主目標です。
2.TA理論から見た日本交流分析協会の7つの姿勢
- ストローク
撫でるや摩るというのがストロークの直訳語ですが、相手を認めるということに関する行動や言葉全体を指し示しています。
よって、自分が幸せであるかないかを感じるのは、ストロークの出し方や受け方により変わってくるということです。
- 自我状態
交流分析の人格理論では、誰もが次のような自我を内包していると考えます。
- 批判・保護 相手を褒めたり批判したりする親の心(P)
- 現実・常識 現実を状況判断する大人の心(A)
- 自由・従順 甘えたり頼ったり無邪気な子どもの心(C)
この自我状態は交流分析のエゴグラムという心理テストにより明らかにし、自己の自我状態を認識することが可能です。
- 対話分析
お互いの自我の間に対話は成立しますが、お互いが持っているP・A・Cのどの部分が交流しているかが対話に大きく影響します。
互いにこの3つの自我があることを理解し合えない場合は、ちぐはぐな交流になり、双方とも相手を認め合うことができないため、相手の気持ちを考えて対応することが重要です。
- 人生態度
自分も相手も認めれるように働きかけ、お互いに理解し合う関係を目指していくことです。
- 心理的ゲーム
他人との人間関係において、最後には毎回不快感を味わうことになるような交流・やり取りを指します。
- 時間の構造化
ストロークを求める方法としての時間の使い方を指します。
- 人生脚本
成人し大人になっても幼少時期に植え付けられた無意識の感情や思いは人生に影響を与えているということです。
3.協会認定の交流分析士が活躍する職域
心理カウンセラー、看護師、介護福祉土などの職場では、TAを活用したいたわりや気配りができるので、利用者などに喜びを与えることができ自立を促すことが出来ます。
企業などビジネスの職場では、仕事における社内外の人間関係を円滑にし、良好な対人関係を築くことが出来ます。
学校など教育の職場では、生徒や保護者と教師との間に良き信頼関係を築いたり、TAを活用して互いに心の通い合う教育を実施させることも出来ます。
また、様々な場面で、良好で円滑な人間関係を基にした活動が可能です。
4.協会認定の交流分析士になるまでの流れ
資格の種類と取得方法
資格は、初級、2級、1級、インストラクター、准教授、教授の段階で順次認定されていきます。
インストラクター資格を取得すれば、准教授又はTA心理カウンセラーの資格を目指せます。
問い合わせ先
- 主催:
特定非営利活動法人 日本交流分析協会 本部事務局 - 住所:
〒101-0054
東京都千代田区神田錦町3-19-21橋ビル3階 - TEL:
03-5282-1565