質問紙法のメリット・デメリット
質問紙法は、クライエント自身の身体と精神の状態に対して質問し、自身に当てはまる項目を選択してもらい、その答えを集計して査定する方法です。
質問紙法には、次のようなメリットがあります。- 回答範囲が最初から決められており、ペーパーテストなので簡単で短かい時問で行える。
- 数量的に回答を統計処理するので、心理カウンセラーによる解釈の相違が発生せず、客観的データを得られる。
- 質問項目と内容があらかじめ決まっているので、クライ工ントに測定したいデータを予測されやすく意図的に回答を操作されてしまうリスクがある。
- 心理カウンセラーがクライエントの様子を見ながら質問するのではないので、クライエントが質問内容を勘違いして解釈する場合も有る。
YG性格検査(矢田部ギルフォード性格検査)とは
質問紙法の代表的技法として、中学生から成人を対象として行うYG性格検査(矢田部ギルフォード性格検査)があります。
YG性格検査では、次の12項目についての度合いを測定し、12項目の分布バランスにより5タイプに分類し、性格傾向を把握する技法です。
- 抑うつ性:時々興味が何に対しても喪失する
- 回帰性(気分の変化):気分の動揺を感じることが多い
- 劣等感:自信を持てない
- 神経質:細かなことを気にする
- 客観性:空想が多くあり得ないことを考える
- 協調性:人の親切さえ打算性を疑い不安感を覚える
- 攻撃性:他人のことを考えず正しいと思うことはお構いなしに実行する
- 活動性:物事を効率よく処理できる
- 衝動性:大勢で一緒になってはしゃぐのを好む
- 思考的活動性:何をするにしても考えすぎる
- 支配性:先頭に立ち働くことを好む
- 社会的外向性:人と知り合いになるのを好む
エゴグラムとは
エゴグラムは、質問紙法による性格検査の一種で、交流分析理論の提唱者であるアメリカの精神科医バーンの弟子のデュセイが考案した技法です。
エゴグラムでは次の5つに自我状態を分類し性格判断します。
- CP(Critical Parent):批判的で厳格な親
- NP(Nurturing Parent):養育的かつ保護的な親
- A(Adult):客観的な視点を持ち、論理的な判断ができる大人
- FC(Free Child):自由奔放で快楽を追求する子ども
- AC(Adapted Child)大人の言うことをよく聞く従順な子ども
エゴグラムでは、人間であれば誰の心にも存在する以上の5つは側面について、どの状態が優位かを判定し、性格を判断する技法です。
簡単な判定方法としては、エゴグラムでどの状態が最も優位性が強いかを見ればタイプを判断できます。
もう少し詳しく見る場合は、バランスが全体的に保たれているタイプ、同程度に強いものが複数あるタイプなど全体的なチャートの形により複数のパターンがあります。
日本では、東京大学医学部心療内科TEG研究会が考案した53問の質問項目による東大式エゴグラム(TEG)性格検査が職業適性検査など幅広く活用されています。