- 精神分析療法
- 行動療法
- 来談者中心療法
精神分析療法とは
オーストリアの精神科医であったフロイトが考案したものが精神分析療法で、力動論的アプローチの原点で中心技法となっています。
精神分析療法は、心にはエス・超自我・自我の3つの心理が存在するという心的構造論に基づき、無意識や非言語表現に重点を置き、無意識をいかに意識化するかが問題を解決するための鍵だと考える技法です。
但し、精神分析療法では、行動変容への対処法がないので、実際の治療を進めていく上で多くの時間を要することがあります。
これは、心理的問題であるクライエントの不適応などの原因を把握・理解することに重点が置かれているからです。
行動療法とは
アメリカのウォルピとアイゼンクは、人の行動は目で見て確認できるが、心の中は見ることができないと提唱し行動療法を考案しました。
心の中が分析対象となるフロイトの精神分析療法とは対照的ですが、精神分析と共に行動論的アプローチの中心技法として行動療法は今日まで発展してきました。
行動療法は行動変容に焦点を絞って、アプローチする実用的な技法で、行動変容への対処法が欠如している精神分析の欠点をカバーできる当時のアメリカの風潮にあった療法であったと言えます。
但し、心の問題や悩みを抱えているクライエントは、行動には問題が起こっていないので、この行動療法では対処することができず、対症療法のため問題を根本的に解決できないという指摘もあります。
来談者中心療法とは
アメリカの臨床心理学者であったロジャーズが考案した来談者中心療法は、精神分析療法と行動療法という二大技法とは逆のテーマを持った技法として登場しました。
精神分析療法や行動療法では、クライエントを分析したり指示したりしますが、それは本来カウンセラーが行うことではないとロジャーズは異論を唱えました。
カウンセラーの役目は、クライエント自らが変容を起こせるように、それを援助するものであるという主張です。
来談者中心療法では、カウンセラーがクライエントに心から共感して傾聴することにより心の問題を解決しようと試みます。
体験論的アプローチの中心技法として来談者中心療法は多用されてきましたし、今日に於いてもカウンセリングの基本的概念となっています。
但し、ある程度の言語能力を前提としている、治療に時間がかかるといった欠点もあります。
3大療法の長所と短所について
上記で紹介した精神分析療法、行動療法、来談者中心療法の長所と短所について見ていきましょう。
精神分析療法 |
行動療法 |
来談者中心療法 |
|
考案者 | フロイト | ウォルビ、 アイゼンク |
ロジャーズ |
対象 | ・心理的な悩み ・不適応状態の個人 |
不適応状態の個人とその不適応行動 |
・心理的な悩み
・言語で表現できる人 ・青年期以上の知的水準を持つ人 |
理論 |
精神分析の諸理論
・パーソナリティー論 ・コンプレックス・リビドー発達論 ・防衛機制 |
学習理論
・オペラント条件付 ・古典的条件付 など |
自己理論 ・人間の成長力や潜在的回復力の承認 |
長所 | 診断を理解するための豊富な枠組み |
・幼児から成人まで適用可能
・具体的な治療目標と、行動変容への豊富な対処法 |
・来談者の尊重と対等な関係
・クライエントとの人間関係が取り易い |
短所 | 行動変容への対処法がない |
・根本的改善にはつながらず対処療法に終わる可能性がある
・実際の現実的な悩みには不向き |
・受け身的過ぎる人、自己中心的な人、幼児・小学生、知的障害者には不向き
・治療に時間がかかる |
表現媒体による心理療法の種類について
心理療法に於ける表現媒体には次のようなものがあります。
表現媒体 |
内容 |
含まれる技法 |
面接、会話 | 心理療法の基本となっており、クライエントとカウンセラーが1対1の面接によって進めます。 |
・精神分析療法 ・来談者中心療法 ・交流分析 |
身体、勣作 | 行動の変容を目指すために、クライエントの身体や行動へ直接働きかけます。 |
・行動療法 ・自律訓練法 |
表現、遊び | 心の解放を目的とし、何らかの表現をクライエント自身に行ってもらい、その活動を通じて解決していきます。 |
・遊戯療法 ・箱庭療法 |
その他 | 多人数のクライエントに行うグループ療法などがあり、1つの理論にとらわれずに幾つかの技法を組み合わせて行われます。 |
・森田療法 ・内観療法 |
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