アルコール依存症の治療は、世話焼き行為をやめる事から

 夫をアルコール依存症から抜け出させる為には、まず奥さんの世話焼き行為をやめる事から始める必要があります。

そうすることで、夫のほうも、自分の責任を取らねばならなくなりますから、少しずつですが、行動が変わってくるはずです。

世話焼き行動をやめるのと同時に、保健所や精神保健福祉センターで行われている酒害相談やアルコール家族教室に通うこともお勧めします。

 断酒会の家族会や、アラノンという依存症者家族の自助グループもあるのでそちらにも参加するといいでしょう。

これらの会には同じ立場の人が大勢いるので接することで、気が楽になります。
同じ問題を解決してきた方々の話も参考になります。

夫を強引に病院に連れて来るよりも、妻が自分の世話焼き行為を改めることによって、夫の行動が変わってくるのを待ってみることです。

 アルコール依存の本人が問題飲酒を起こしている自分の現状を自覚して、はじめて治療を真剣に行おうという意識が芽生えます。

そうならないと、周りが心配して病院や自助グループを勧めても参加することはまずありません。

妻が世話焼き行為をやめると夫の状態は?

 妻が世話焼き行為をやめると、ほとんどの夫はイライラしてきますが、その理由は世話焼き行動をやめたことにより、自分を尻ぬぐいしてくれる人がいなくなって困っているからです。

困ることができてはじめて、本人も、酒をやめなければと本気で意識し始めるようになり、これで最初の1段階はクリアです。

ここから先は本格的に治療につなげることを考える時期になります。

 次は、会社の職場に協力を求めることも大切です。

こう言うと、「夫がアルコール依存症だと職場に明かしてしまうんですか!?」と驚かれる方もいますが、職場の仲間は、とうの昔に気づいていることがほとんどです。

直接言うと、個人のプライバシーに関わるので、家族にまでは言ってこなかっただけです。

 逆に、家族から相談があれば個人のプライバシーの問題はクリアできるので、職場に協力を求めると、職場の産業医や保健スタッフの協力で、夫を治療につなげやすくなります。

以前から、会社側は、夫の仕事の能率が落ちていて困っていたはずなので、治療を受けて、お酒の問題をクリアしてくれたほうが、職場も助かることになります。

職場と協力して説得すると、治療につながる率が高くなる!

 実際、アルコール依存症者は、家族が懸命に説得しても、治療にはなかなかつながりませんが、専門の援助者のアドバイスや指導があれば、家族、職場、産業保健スタッフがチームを組んでの説得が効果的になります。

 本人に受診する意思が芽生えたときに、すぐ連れて行けるように、専門医療機関の診察日時を事前に調べ準備しておきましょう。

また、本人を説得する前に、会社側とリハーサルを行い準備しておくことも重要です。

 説得する際、自宅は不向きで、勤め先の会議室など中立的な場所がベストです。

注意することは、同席する上司がリストラなどを匂わせてはダメです。

このように組織だっての説得方法はかなり効果的で治療につながる確率がかなり高くなります。

アルコール依存症 治療の4本柱

 職場にアルコール依存症であることを公にされたことで、夫はプライドを傷つけられたと感じるかもしれませんが、このまま飲み続ければ、間違いなく病気になるか早死にすることになります。

ちなみにアルコール依存症の平均寿命は52歳といわれています。

 やっと、ここから本格的な治療を始めることができるようになり、治療の4本柱に従って取り組む必要があります。

  • 1つ目:抗酒剤の使用
  • 2つ目:依存症専門病院での治療を継続すること
  • 3つ目:自助グループに参加すること
  • 4つ目:周囲への断酒宣言
抗酒剤の使用

 抗酒剤とは、お酒が飲めなくなる薬で、体内に入ったアルコールを、肝臓でアセトアルデヒドという悪酔いや二日酔いの原因になる物質に変化させる薬です。

抗酒剤を服用したあとに酒を飲むと、ちょうど悪酔いと同じ状態になって、吐き気や頭痛が続きます。

酒を飲んでも気持ち悪くなるので、薬が効いているうちは、『飲みたい!』という衝動を抑えられます。

依存症専門病院での治療を継続すること

 お酒をやめて1か月から1年は不眠が続いたり、抑うつ気分になって落ちこんだり、ささいなことで怒ることもあります。

こうした問題の相談ができることが、依存症専門病院での通院継続の利点です。

自助グループに参加すること

 自助グループとは、同じ問題を持つ人たちが集まって、自分の体験や今の心境を語るグループです。

依存症本人のグループには、断酒会とAAという2つがあるので、雰囲気の合う会に参加してみてください。

自助グループには、飲みたい気持ちがなくなって断酒が軌道に乗るまで、毎日行くべきです。

最低3か月は毎日、その後も、できるだけ多く通うほうが効果的です。

 自助グループのミーティングは2時間弱で参加してみると案外楽しい雰囲気でいろんな人と友だちになれます。

また自分とよく似た体験が話されているのにも気づけますし、酒のせいで仕事や家族を失った人の話を聞くうちに、こわくなり、自分の問題飲酒が原因で同じ目に会う可能性があると認識できるようにもなります。

慣れてくると毎日の出席が喜びになりますので、お酒の代わりに手に入れる価値のあるものです。

周囲への断酒宣言

 断酒宣言は抵抗する人もいますが、すでに職場の人たちは、お酒の飲み方に問題があると気づいています。

断酒宣言は、むしろ歓迎されるはずで、取引先と酒席がある場合なども『今日は体調が悪い』と言うことができるので気が楽になります。

 ここまでの治療を継続しながら、もし再飲酒(スリップ)してしまっても、ヤケを起こさずに主治医や自助グループの仲間に相談することで、最終的にアルコール依存症から抜け出すことが可能になります。

 アルコール依存症は、健康・家族・仕事・社会を破壊する病気で、全国に数百万人も存在しています。

平均寿命も52歳と極端に短く、飲み続ける限り悪化する進行性の病気ですが、断酒の4本柱に従い、断酒を続ければ回復可能です。

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