カナダ出身の精神科医であったエリック・バーン(Eric Berne)によって交流分析(Transactional Analysis:TA)は考案されました。
特に日本においては、エゴグラムという性格分析として交流分析が広く知られています。
交流分析とは、個人の性格を行動から分析する手法で次の4つの分析から構成されています。
心の構造分析
心の構造分析では、まず人の心の中を次の3つに分類します。
親(Parrent)と子ども(Child)については更に2つに分かれ、全部で5種類の自我に分類されます。
- 親(Parrent)
- 批判的な親(Critical Parrent/CP)
- 養育的な親(Nurturing Parrent/NP)
- 大人(Adult)
- 子ども(Child)
- 自由な子ども(Free Child/FC)
- 従順な子ども(Adapte Child/AC)
人であれば誰でも心の中に、この5種類の自我が在存していますが、特にその中でも支配的傾向が強い自我のタイプに影響された言動を人はとるという理論です。
やりとり分析
やりとり分析では、他人と会話をしたり、何らかのコミュニケーションをとる場合は、双方どちらもP・A・Cのどれかに属し、それぞれの立場で交流しているとされています。
なので、年齢は関係なく、どの自我が支配的なのかにより、本人の話し方や行動が決まってくるということです。
ゲーム分析
会社や家庭でも対人関係の中で、気分を害したり、不愉快に感じるような会話のやりとりを誰もが体験していると思います。
このようなやりとりを交流分析においては、心理的なゲームと捉えて分析します。
このようなゲームは、本人が気づかずに行っているので、同じパターンで何回も繰り返され、そのパターンで会話などを続けていると争いや大喧嘩に発展する可能性があります。
交流分析の中でもこのゲーム分析は、人間どうしのやりとりの中で日常起こるいろいろな問題について、ゲーム理論より分析を行い、トラブルを解決することや、問題の原因がパターン化して繰り返されることにあることを当事者に認識させて改善できる方向性を示すという核心に位置づけられる分析手法になります。
なので、心理ゲームを始めてしまった場合は、すぐにでも終えることで争いを避けることが可能になります。
ゲーム分析の事例としてよくあるのが、次のような親子の会話です。
- 子供「お母さん、夕食までゲームしてもいい?」
- 母親「ゲームより砂糖が足りなくなったからすぐ買ってきてよ。」
Aの立場である母親に対して、Cの立場として子どもが話しかけていますが、母親はAの立場ではなく、Cの立場として返答しています。
ゲーム分析では、この状況はC(子ども)の立場を母親が子供と争うゲーム展開になっているので、このままの状態で会話を続けていると、その内ちぐはぐな会話になり喧嘩になる可能性があります。
脚本分析
誰もが自分の生き方についてある固定観念をもっています。
この原因は親とどう関わってきたかにより、幼児期に自分の中に固定観念ともいえる脚本を描いてしまうからだとも言われれています。
常日頃「何をやっても思うようにならない」と心の中で感じている場合は、「最終的には何をやっても成功しない」という脚本が植えつけられているからです。
脚本分析は、自分の中にあるマイナスの脚本に気付き、プラスの脚本に上書きしていくことにより、自分が思い描くような生き方に変容したり、精神的にも成長できるようにすることが目的です。
脚本分析の事例としてよくあるのが、次のような両親と娘との会話です。
- 母「私のように不幸な人生を送ってほしくない。」
- 父「どうせ生まれるなら女の子ではなく男の子がほしかった。」
このようなことを幼児期から言われて育ってきた子ども(娘)は、次のような脚本を自分の中に作り上げてしまいます。
- 子ども「女性として人生を過ごしても母のようになるだけだ。男勝りで強く生きなければ決して幸せな人生を送れない。」
脚本分析では、このようマイナスの脚本に気付かせ書き換えていくことで、人生を好転させていきます。