作業法とは
心理テストの質問紙法、投影法に続く第3の方法が作業法というテストです。
クライエントに図形の模写や計算作業などの単純作業を行わせて、その時の作業量や作業内容、作業速度の変化などから性格を診断する心理テストです。
簡単にだれもが行える点は質問紙法と同じで、いろいろな検査道具を必要とする投影法と違い、ペーパーテストで実施できます。
また、メリットとして言葉は必要ないので、人種や国に関係なくクライエントが外国人であっても対応できる点が大きな特徴です。
一方、デメリットとしては、検査で判定できる範囲も限られているので、他の検査と併用して行うことが望ましく、明確に検査結果の判定や解釈も定義されていないので、心理テストを行う心理臨床家の裁量に委ねる部分が大きく、検査を実施する者によって異なった結果が導き出される場合もあります。
内田クレペリン精神検査について
作業者が連続して単純作業を実施していると、一定のパターンが精神状態に現れることを作業曲線といいますが、この事象をドイツの精神医学者クレペリンが発見しました。
その後、精神医学者クレペリンが発見した作業曲線を基にして、この作業曲線を分析することによる性格検査を考案したのが心理学者の内田勇三郎で、この検査方法は内田クレペリン精神検査と呼ばれています。
検査方法は、1行ごとに連続した数字が並んでおり、左端から隣どうしに並んだ数字を加算して1の位の数字を書いていくというもので、1分に1行ずつ計算していきます。
クライエントはできる限り早く加算していくことをこの作業では求められます。
加算結果を書き終えた右端の数字を上の行から結んでいくと曲線ができあがりますが、この曲線より次の3つの観点から判定し、性格のムラ、取り組み意欲、仕事の処理能力などが分析されます。
診断基準- 決められた時間内の作業量は?
- 作業速度の変化は?
- 正答率は?
現在、内田クレペリン精神検査は、教員や運転士などの職業適性検査として活用されています。
ベンダー・ゲシュタルト・テスト
作業法の性格検査でベンダー・ゲシュタルト・テストと呼ばれるものがありますが、これは児童精神科医のベンダーによって考案された心理テストです。
ベンダー・ゲシュタルト・テストのオリジナルテストでは、9つの幾何学図形をクライエントに見せて、その図形を模写してもらい、次の3つの診断基準から判定し、児童の脳の血質的障害、心理的障害、精神発達状態などを分析します。
診断基準- 描写は正確に描かれているか?
- 描写が乱れて描かれていないか?乱れている場合はどんな乱れ方か?
- どのような描写方法で描かれているか?
ベンダー・ゲシュタルト・テストは、簡単でクライエントの対象として子どもにも適用できるので、アメリカの心理臨床でも一般的に活用されています。