心の問題を抱えた人が臨床の対象者となり、それらの人々を援助するために、次の4分野において臨床心理学で実践や研究が実施されています。
臨床心理アセスメントについて
クライエント(来談者)は、援助を求めて、現在抱える心の悩みや問題についてカウンセラーに相談に訪れます。
臨床心理アセスメントでは、クライエントの問題内容や置かれている生活環境や状況を把握し、問題の種類や深刻度、障害発生の程度などについて調査(アセスメント)し、問題の対処方法や解決策などについて検討していきます。
心理アセスメントでは面接・観察・調査などをクライエントやその家族に対して実施したり、心理テストを活用し科学的・客観的にも分析して、臨床効果があるかどうかの診断も行っていきます。
また、心理テストでは、よく使用される知能検査、性格検査、親子関係診断テストなど以外にも多くの種類があります。
臨床心理アセスメントを簡潔に定義すると、クライエントの問題を把握・調査し、その問題に対する対処の仕方や解決方法を検討し、面接効果の診断まで行うことをいいます。
臨床心理的援助について
クライエントに対し人間的な関わりを持ちながら、適切な心理療法などの専門的援助を実施し、問題解決を目指す行為を臨床心理的援助といいます。
クライエントが抱える諸問題に対して、いろいろな現場で行われており、適切な心理療法をアセスメントの結果に応じて活用して問題の解決は行われます。
心理療法では、専門的な手法である交流分析、行動療法、精神分析療法、論理療法などの中からどれを使用するかを検討し、場合によっては、様々な技法を組み合わせて実施されることも多くあります。
コミュニティ援助について
クライエントが所属する地域社会・集団に働きかけ、クライエントが抱える諸問題を解決するために協力体制を助成することをコミュニティ援助といいます。
家族関係や家庭内での問題、育児支援、暴力・自殺・殺人などの危機的状況などの様々な問題に対して、地域全体で援助するにはどうしたらいいかを考えていきます。
また、次のような地域システム全体からの介入・協力によって個別面接やグループアプローチを行う場合にも大きなプラスになります。
- 関連機関の協力(警察、医療機関、児童相談所など)
- 他分野の専門家の協力(教師、医師など)
- 専門外の人々の協力(クライエントの友人、親戚など)
研究法について
臨床心理は理論だけでなく実際の現実社会で活用される実学なので、クライエントの心の悩みや問題が実際に解決できるように役立てていくことが大切です。
そのために、クライエントの心の動きや考えなどに対して深く理解できるように努力し、支援・援助の方法や技法を開発し、その目的や有効性を判断する研究を行っていきます。
また、この他にも調査研究や実践での事例研究も行います。