アスペルガー症候群とは何か?

小児科医であったオーストリアのアスペルガーにより1944年に発見されたのがアスペルガー症候群という疾患です。

アスペルガー症候群は自閉症に似た障害ですが、乳幼児の時期は言葉の遅れは目立ちません。

しかし、アスペルガー症候群も生まれつき脳に障害があり、言語や認知的な発達障害はありませんが、興味を抱く対象や活動する範囲が限られ、コミュニケーション能力に支障が起こります。

アスペルガー症候群の発症率と発症時期

女児よりも男児がかなり多く発症する疾患で、その特徴が発現するのは乳児期の後半以降になり、幼児期に入ると自分ひとりだけで遊ぶことが圧倒的に多くなり、5歳前後の年齢期になると固着することが多くなります。

アスペルガー症候群の特徴

小さい子供の頃は障害が現れない為、気付かれずにいることが多いようです。

しかし、だんだんと成長するにつれて、相手のことばのニュアンスや表情をうまく読み取れないため、友人や周りの人とのコミュニケーションに支障が発生し、本人は大変困ることになります。

知能レベルは平均以上ある子が多いようですが、自分の領域に他人が侵入してきた場合、パニックに陥り突然攻撃的な行動に走る場合があります。

3つの特徴的な症状
  1. 対人関係に関する障害

    周囲の人々とコミュニケーションを上手くとることができずに集団やグループの中では孤立する事が多く、周囲からの理解を得られずにいじめに遭遇するケースも少なくありません。

  2. 会話しても単調で抑揚が感じられない言葉で話す

    記憶力や言語には目立った遅れや障害はありませんが、会話をしても言葉に感情が感じられず淡々としゃべり続けます。

  3. 興味は特定対象への関心が大きく、知能レベルは平均値以上

    文字、数字、地図など、ある特定の対象にのみ過剰な興味を抱きますが、知能レベルは平均値より高い場合が多いようです。

自閉症との違いは何?

軽度の自閉症とアスベルガー症候群は、よく似た症状が見られるため、診断で明確に見分けるのは難しいのが実情です。

自閉症を発症している多くの子供は、知的障害を伴っていますが、アスベルガー症候群は、知的障害も言葉の発達遅れもありません

これが原因で、小さい児童の頃は、ほとんど気付かれず問題にされない事が多いようです。

現在では、自閉症を複数の症状を抱えた症候群として捉えられるように考え方が変化しており、診断基準に照らし合わせると、自閉症とアスベルガー症候群は広汎性発達障害の下位に位置付けられるようになっています。

ちなみに、広汎性発達障害とは、一部の特定能力に限らず言語、情動行動、対人相互的関係などの領域に発達障害が見られる障害をいいます。

アスペルガー症候群の対処法・治療法

治療法の柱は行動療法になり、対人関係における問題をどう解決するかなど具体的方法を意識しながら訓練を重ねていきます

また、本人だけでなく家族への支援サポートも行う必要があります。

青年期を過ぎ成人期になってもアスペルガー症候群の症状は引き続いて発症することが非常に多いのですが、統合失調症であるという診断基準はクリアしていないため、成人してから以降も統合失調症を発症することはないようです。

以上のように行動療法が治療の要になりますが、子どもが抱える問題を周囲の人々が理解し家庭や学校などが中心になってしっかりと適切に援助していけば、普通に社会生活ができるようになることが多いです。

実際に、アスペルガー症候群より症状の重い自閉症の子供であっても、成人してから50%以上が一般企業又は福祉作業所などで仕事に就いて働けるようになっています。

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