知能検査の種類には、個別式と団体式があり、個別式が通常使用されています。
個別式知能検査とは
個別式の知能検査の種類には、次のようなものがあります。
- ビネー式(鈴木ビネー、田中ビネー)
- ウェクスラー式(WPPSI、WISC-Ⅲ、WAIS-R)
- KABC
- その他
1.ビネー式知能検査
フランスのビネーが開発した知能検査が基になっており、「鈴木ビネー」と「田中ビネー」の2種類が日本にはあります。
ビネー式知能検査が全世界に広まった理由は、指導を少し受ければ検査できるためです。
また障害者手当がこのテスト結果によって交付されることになっており、全国の保健所や児童相談所などで使用されています。
2.ウェクスラー式知能検査
ビネー式と比べて知能診断をさらに詳しくできる検査として作成されたのが、アメリカのウェクスラー式です。
この検査は言語性検査と動作性検査の2種類があり、言語性IQ、動作性IQ、全体のIQの3つを測定します。
適用年齢は次の3種類があり、ビネー式のように子どもだけに限定されません。
- WPPSI(3~7歳)
- WISC-Ⅲ(5~16歳)
- WAIS-R(16~74歳)
3.KABC知能検査
自閉症や学習障害(LD)の子供向けに、アメリカのカウフマン夫妻が開発したのが、「KABC心理・教育アセスメントバッテリー」とう検査方法で、2~12歳の子どもの習得度や知能を測定できます。
現在のKABC-ⅡはKABCの改訂版で、KABCの検査には次ような種類があり、興味を持って子どもが取り組めるように工夫されています。
- 顔探し
- 絵の統合
- 模様の構成
- 視覚類推
- 位置探し 等
団体式知能検査とは
団体式の知能検査の種類には、次のようなものがあります。
- 言語式(A式)
- 非言語式(B式)
- 混合式(AB式)
団体式知能検査は、アメリカで軍人の知能を測定するために第1次世界大戦後に考案されました。
考案された目的は、軍人の職権や階級を決定する際、何百万人もの徴用軍人を知能レベルにより分類するために使用されていました。
ウェクスラー式知能検査の特徴と内容
ウェクスラー式知能検査の特徴
ウェクスラーは、知能検査をビネーの後に、より一層発展させたました。
ウェクスラーは、知能因子を仮定し分類することで知能構造を詳細に診断しようと考えました。
これは、IQの高低を大雑把に測定しようとしたビネーと異なる点です。
ウェクスラー式知能検査は、次の2種類の検査で構成されています。
- 言語性検査…□と耳の機能を使った検査
- 動作性検査…目と手の機能を使った検査
さらに、言語性検査と動作性検査には、細かい下位検査があり次のような知能因子により分類されています。
- 言語性検査
知識、類似、算数、単語、理解、数唱 - 動作性検査
絵画完成、符号、絵画配列、積木模様、組み合わせ、記号探し、迷路
様々角度から対象者の能力を測定することができるウェクスラー式知能検査は、IQのように一律の尺度で測定するものではありません。
この検査法により、身体障害を抱えている子どもなどは、障害がある身体部位以外の器官機能を発達させ、障害器官をカバーするための代替機能を発揮させるという実態が明らかになっています。
ウェクスラー式知能検査の内容
ウェクスラー式知能検査は年齢別に次の3種類がありますが、問題のレベルが年齢によって難しくなったり易しくなったりするだけで、基本的な考え方は3種類とも同じです。
- 3~7歳:WPPSI
- 5~16歳:WISC-Ⅲ
- 16~74歳:WAIS-R
また、言語性検査と動作性検査の下位検査は評価点が19段階に換算され、視覚化できるので、子どもの発達段階のバランスを調べることも可能です。
IQの測定はウェクスラー式知能検査でも行いますが、ビネー式のように生活年齢と比較するやり方ではないので、同年齢間の子どもの偏差値を計ることができ、IQの診断も、より正確に行えるといわれています。