作業療法では、社会に対する適応能力を向上させたり動作機能を回復させるために、手芸・工芸・絵画などの創作や日常生活上の必要な動作などを行うものです。

作業療法とは何か

 作業療法は、ドイツのジーモン(Herman Simon)により1924年頃に体系化されたと言われています。

作業療法と対比した療法として有名なものでは理学療法があり、リハビリテーションの一環として行われています。

ちなみに、理学療法とは、電気刺激や温熱などの物理的な治療を施すことにより、身体に障害を患っている者に対して機能回復を促す治療法です。

また、理学療法の専門職は「理学療法士(PT)」、作業療法の専門職は「作業療法士(OT)」と呼ばれます。

 作業療法の場合は、手芸・工芸・絵画などの作業を通じて、衰えた動作機能や社会に対する適応能力などの回復を目指します。

また、幼児から高齢者まで身体障害や精神障害を抱えている者が作業療法の対象となり回復効果が期待できます。

ジーモンは、目的を持って作業を行うことで、残されている健康機能や運動機能が強化・増進される可能性があり、この効果により心身に障害を負った部分が改善されると考えました。

 心理学における作業療法の目的は次の3点が挙げられます。

  1. 病的な思考状態を変えることができる
  2. 勤労意欲の回復やさらなる増進
  3. 社会生活における生活秩序を維持する

 日本では、1931年、医師であった長山泰政が欧州に留学してジーモンから作業療法を学び伝えたのがその始まりです。

アメリカで行われている作業療法は、治療というよりもカウンセラーと相談者の人間関係をよくするための手段として用いられています。

作業療法の主な種類

 作業療法は目的から分類すると次の3種類が主ですが、療法としてはこれ以外にも多くの種類があり、治療に最適な手法を用いてクライエントを援助していきます。

日常生活動作訓練の具体例では、指の運動機能を喪失した者が、鉛筆のような棒をセットできる自助具を使用してキーボードを打つ訓練を行ったりします。

作業法の種類 改善目的 主な改善対象
日常生活動作訓練 身辺動作の改善 食事、排泄、身支度、移動、更衣などの動作
機能的作業療法 身辺機能の改善 筋肉、関節、感覚などの機能
職業前作業療法 社会生活適応能力や職業復帰能力の改善 対人関係、作業などの能力

作業活動の種類について

 作業活動の種類は下表の3つがあり、クライエントが抱える障害の程度や治療目的に合致した最適な方法を選んで実施していきます。

また、クライエントの残存機能を可能な限り活かし、改善効果が得られるようにしていくことも重要です。

この観点から臨床心理士などのカウンセラーだけでなく、病状・疾患の状態や評価の仕方についても専門的技能を有している医師や作業療法士など医療分野の専門スタッフとの協力も必要になります。

 身体に疾患がある者に作業療法は主に用いられますが、心理療法として精神に疾患がある者に用いられるケースも多くあります。

作業活動の種類 作業内容
現実生活に関わる様々な作業 職業的動作、家事動作、日常生活動作(食事、排泄、身支度、着替え) 等
創造的活動 趣味も含めた創作活動(生け花、園芸、工芸、手芸、革細工、木工 等)
レクリエーション、社会的活動など スポーツ、乗馬、ゲーム 等
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