人生相談・宗教説法・コンサルタントと心理カウンセリングとの違い

 近年の日本では、少子高齢化に起因して、介護離職、老老介護、孤独死、核家族化による一人暮らし、希薄な人間関係など家庭や職場でストレスを抱え込みやすい環境が助長され、うつ病や人間関係でのトラブルなど、様々な問題がニュースで取り上げられています。

この影響からか心理カウンセリングやメンタルケアに関心を持つ人も多くなってきました。

心理カウンセリングをカウンセラーが行う場合は、コミュニケーションスキルを用いて下記に示すような取り組み姿勢で、クライエント自らが変わっていけるよう導くことを重視し、次のような効果をクライエントにもたらす必要があります。

カウンセリングを行う際の心構え

  • 指導者ではなく支援者として援助すること。
  • カウンセラー自身の価値観や考えを押しつけないこと。
  • クライエントの視点に立ち日常生活で経験する問題について対応すること。

カウンセリングを行う意義

  • 心の成長を促すこと。
  • 行動の変化をもたらすこと。
  • 新しい可能性を見いだせるようにすること。

以上の点を考えると次に示す人生相談・宗教・コンサルタントの仕事と心理カウンセリングの仕事は違うことが分かります。

まず、人生相談では、相談員はクライエントの状況を把握するために話を聞いてくれますが、最終的にはどうすべきかを相談員の経験や考えに基づいて指導していきますので、支援者というより指導者的な立場で、あるべき姿や考えを助言指導する形となり、クライエントが自分自身で答えを導き出し変わっていくわけではありません。

次に、宗教活動では、各宗教の理念や教義に沿って生活することが悩みを解決する最善の方法だとクライエントに説いていきますので、相手の立場に立って日常生活で経験する問題について対応するわけではありません。

コンサルタントに至っては、物事の判断材料となる各種情報やデータをクライエントに提案することが主な仕事になり、心の成長を手助けするような仕事ではありません。

これらのことからも分かるように心理カウンセラーがクライエントに対応する内容とは明らかに異なっています。

カウンセリングの形態・目的・対象者

治療的カウンセリング

  • 対象者
    精神的に大きな問題や精神疾患を抱えている方。
  • 目的
    精神症状を軽減させ心の健康を正常な状態に戻すこと。

問題解決的カウンセリング

  • 対象者
    対人関係・失恋・失業などで悩んでいるが基本的な判断力はあり健康である方。
  • 目的
    これらの問題を自分の力で解決できるように導くこと。

予防的カウンセリング

  • 対象者
    問題だという自覚がクライエントにはないが、ストレスは常日頃からよく感じている健康な方。
  • 目的
    今後起こるかもしれないストレスや心の問題に対応できる解決能力を高め、ストレスに対する抵抗力を養い心の健康を自己コントロールできるようにすること。

開発的カウンセリング

  • 対象者
    現状の自分にクライエント自身が不満を抱いているわけではないが、さらに自分の可能性や能力を高めていきたいと前向きに考えている健康な方。
  • 目的
    クライエントが望む自分になるため自己実現意欲を高め、より社会生活を充実させることが目的なので、問題解決より教育的な傾向が強いカウンセリングといえる。

心理カウンセリングの流れと主な種類

 常に人は欲望や欲求を抱く生き物であるということが、心に悩みや問題を抱える根本的な原因となっています。

欲求階層説で紹介されている通り、最終的な人間の理想は、自己実現、すなわち望んだ通りの自分になることです。

しかし、その目的を達成するには、現状と理想との差を埋めれるよう様々な障害を克服していく必要があり、そのことが原因で不安を感じたり葛藤することで心に悩みや問題を抱えることになります。

このような心の問題を解決するために、主にカウンセリングには2つの流れが起こり、現在のカウンセリング技法に繋がっています。

  • 心理療法:
    精神的な病や問題に対処する治療技術として医療現場で発展したもの。
  • カウンセリング:
    仕事や教育の観点から指導するため現場で発展したもの。

 職業におけるカウンセリングは、従業員のメンタルケア(心の健康管理)に重点が置かれて実施されてきましたが、最近では個人の能力を引き出したり伸ばしたりするために活用されるようになってきました。

また、カウンセリング資格では、臨床心理士と産業カウンセラーが有名ですが、カウンセリングの目的が違います。

問題解決と治療に重点を置いたカウンセリングを行うのが臨床心理士であり、問題解決から能力開発まで重点を置いてカウンセリングを行うのが産業カウンセラーということになります。

 心に抱える問題の多くは対人関係に起因することですが、問題を解消して人間関係を円滑に行えるようにするためにソーシャル・スキル・トレーニングという技法を指導する場合もあります。

ソーシャル・スキル・トレーニングでは次のステップで技法を学んでいき、治療から能力開発まで活用することができます。

  1. 良好な対人関係を構築する
  2. 相手に配慮して要求する
  3. 相手の要求を断る
  4. 利害の対立を克服する

心理カウンセリングの流れ

カウンセラーの心構え

 クライエントの状況に合わせて効果的な技法を用いカウンセリングを実施する必要がありますが、カウンセラーは、宗教のように教えを説くわけではありません。

なので、社会や世の中のルールを守り他人にも共感するなど、人として基本的なことを普通に行えるように導くことが、クライエントの問題を解決し心の成長に繋げることができるという考えを持っておくことが大切です。

カウンセリングの開始・技法の選択

 カウンセラーは、クライエントの次のような問題を解消するに必要となる目標を具体的に設定し、適切な技法・技術を選択し学ばせることも必要になります。

  • 不安をやわらげる
  • 対人関係をよくする
  • 自己表現力を高める

また、カウンセリングを行う際は、言葉でけでなく非言語的コミュニケーションといって、クライエントの態度・しぐさ・表情・視線・沈黙などもクライエントの心的状況を的確に把握するためには重要な意味があります。

単に表面的に観察するだけでなく、共感する技術も必要で言葉の背後にある心の動き・気持ち・感情にも注意を怠ってはいけません。

話を聞く場合、適度にうなずくことも非言語的支持となりクライエントの安心感を引き出し元気づけることにも繋がります。

人とコミュニケーションを取る場合の情報伝達は、ことば以外の非言語によるものが多くを占めています。

クライエントの心の成長

 カウンセリングを受ける過程でクライエントの心には、通常次のような変化が現れ成長していくものです。

  1. 自分をあるがままに受け入れる
  2. 以前とは違った観点での見方や考え方があることに気付く
  3. 問題を抱え混乱した感情・気持ちを整理する
  4. 失っていた自信を回復する

カウンセリングでは、今までクライエントが気づかなかったことを自身で気づけるように導いていくことがポイントになります。

以前とは違う自分に気付き、物事の捉え方・感じ方・見方など視野が広がり、クライエント自身が自分の力で問題解決し変わっていける切っ掛けとなります。

カウンセリングの効果

 クライエントが効果的なカウンセリングを受けることにより、次のような効果が期待できます。

  1. 社会生活上の現実的な目標を設定する
  2. 他人に対しても寛容な心で接することが可能になる
  3. 円滑にな対人関係を築けるようになる
  4. 問題・ストレスが解消され心身の健康を回復できる
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