心とは何か
人の心や精神に関することは、遠い過去から現在に至るまで関心が持たれてきました。
では、人の心とは何でしょうか?
19世紀末にフロイトという精神科医が精神分析学を創始しましたが、それによると人の心は意識、前意識、無意識の3つの構造から成りたっていると定義されています。
フロイトの定義によれば、
意識とは、自分が何を考え、何をしているかを自分で理解できている状態で、目で見、耳で聞き、考え、感じていることに気付いていることだといいます。
前意識とは、思い出そうとすれば意識の世界に呼び戻せる意識の下にある領域のことをいいます。
過去に出会った人の名前や起きた出来事など、通常の生活では意識していませんが、意志や注意により思い出せる状態のことです。
無意識とは、意識の奥底にあるもので、その存在に自分でもまったく気付きませんが、精神分析・催眠療法・夢などによって意識される領域のことをいいます。
また人の行動力の源泉であり動機にもなっているのが、この無意識だといわれています。
心の働きの解明
フロイトは精神分析学の理論をさらに深化させ、エス、自我、超自我と呼ぶ領域について定義しました。
まず心の奥底には「エス」というものがあり、無意識の中には生まれながらに持っている本能的衝動や心的パワーの領域があるとしました。
そして、ブレーキ役の部分として「自我」というものがあり、この部分でエスの本能的衝動をコントロールしているといっています。
またエスの本能的衝動を満足させつつ、現実の実社会に適応出来るようにするために、人が発達すると同時に自我は形成されていくと考えました。
「超自我」というものは、家庭での躾、現実社会での道徳的規範、文化的価値を学び身に付けていくことで、自然と人間の心に形成されていくものだそうです。
超自我とは、罪悪感や良心など恥の意識のことでそのほとんどは無意識的に形成されていきます。
人の悩みや心配事について
人の悩みや心配ごとは、様々な調査やアンケートで、健康、お金、就職、性格、家族など多種多様であることがわかっています。
人は性別・年齢別に関係なく、様々な悩みや不安を持って生活しているものですが、先ほどのフロイトの精神分析学の理論によると、心の悩みは、超自我、自我、エスが対立し矛盾することが原因で発生しているということなので、心の構造としくみを理解しておくことが、心の悩みを改善する大きな手助けになると言えます。