現在の臨床心理学に大きな影響を与え、発展に貢献したのは精神科医であったフロイトとユングです。

ユングはフロイトの精神分析学に惹かれて心理学を探求することとなりましたが、その後この二人は主張する意見が対立し決別しています。

ここでは、フロイトとユングが主張する心理学の理論や考え方にどのような違いがあるのかを見ていきましょう。

フロイトとユング 意識の考え方の違いについて

 フロイトの精神分析学では、意識と無意識の関係は対立的・抗争的な状態にあると主張しています。

一方、ユングの分析心理学では、相反する自分が意識と無意識にはそれぞれ存在し、意識と無意識の関係は補償的・調和的なものであると主張しています。

 また、ユングとフロイトが主張する理論の大きな相違点は、フロイトの場合、無意識の領域には個人が持つ1領域しか存在していないと主張していますが、ユングは、個人的無意識と集合的無意識の2層が無意識の領域には存在すると主張している点です。

 ユングの言う個人的無意識とは、自我の統合を維持するために個人が人生で経験してきた今までの思考・感情・記憶などが、忘れ去られたり抑圧されたりすることが要因となり、無意識になったもののことです。

もう一つの集合的無意識とは、先祖代々脈々と人が長年に渡って引き継いできた潜在的な記憶が蓄め込まれている人類共通の普遍性を持った無意識のことです。

さらに、ユングは文化的無意識と家族的無意識が、集合的無意識には含まれるとしています。

フロイトとユングが主張する理論比較

意識と無意識の関係について

フロイト
  • 意識と無意識は対立的・抗争的な関係にある。
  • 無意識は抑圧された記憶や衝動を入れる場所である。
ユング
  • 意識と無意識は互いに補い合うもので、無意識は意識の偏りを補っている。
  • 無意識には意識とは対照的な別の自分が隠れている。

心的エネルギー(リビドー)について

フロイト
  • 性的なものに限定。
  • ネガティブなもの。
ユング
  • 性的なものは一部に過ぎない。
  • ポジティブなものもある。

神経症を人が発症する理由について

フロイト

幼児期など過去に経験した出来事が発端となり、それが無意識から意識へ表れようとする際に症状を発症する。

ユング

心が高次レベルで統合を目指すプロセスを病気と捉え、意識と無意識が相対した際に発症する。

意識・心の構造について

フロイト
心は、意識、前意識、無意識の3層構造で、無意識は個人が持つ1領域である。
  • 意識
  • 前意識
  • 無意識
ユング
無意識には、個人的無意識と集合的無意識が存在し、個人的無意識とは、個人の記憶・思考・感情などが忘却されたり抑圧されたりした無意識のことで、集合的無意識とは、全人類が持つ普遍的な無意識のことをいう。
  • 意識(自我):
    意識の主体で外界や自分自身を認識している
  • 個人的無意識
  • 集合的無意識:
    文化的無意識・家族的無意識
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