介護分野では全職員にカウンセリング技能が求められる

 福祉活動を行うNPO法人や社会福祉法人でも心理的ケアを行うところがあり、心理カウンセラーとしての仕事はあります。

但し、民間運営されている介護・福祉施設では心理カウンセラーを専任で配置しているところは極まれで、福祉職の仕事の特性上、全職員に心理カウンセリングの基本技能が必要な職場とも言えるでしょう。

 心理的側面からの支援やケアを福祉事業の一環として実施している福祉団体もあります。

支援内容は、認知症高齢者、登校・引きこもり児童、児童虐待に関する応相談・ケア・支援などを行っていますが、このような支援活動にはカウンセリングという要素が含まれており必ず必要となるものです。

よって、心理的ケアを目的とした専用相談窓口を設置している施設もあります。

現在は社会福祉の給付制度による支援も行われており、より質の高い福祉サービスが必要とされ、福祉分野で心理カウンセラー職として活躍するには、介護福祉系資格でも柱となる社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士などの資格も併せ持っている方があらゆる面で有利です。

現実的にも仕事に大いに役立ち、就職時にも自身を持ってアピールすることができるでしょう。

なお、介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士の3つの資格は、介護・福祉分野で仕事をする場合、中心的役割を担う重要な資格です。

介護・福祉分野で用いられる心理療法

ピア・カウンセリングとは

 ピア・カウンセリングは福祉分野では頻繁に行われている手法で、カウンセリングを行う場合に専門技能を持っているカウンセラーが担当するのではなく、よく似た悩みや問題を抱えている仲間同士(ピア)によって行なわれるものです。

芸術療法とは

 重篤な障害を抱えている者でも行えることが芸術療法のメリットで、福祉施設では心理療法としてよく活用されています。

絵画、造形、音楽、身体表現などを題材として様々な芸術活動を実施するものです。

音楽療法とは

 音楽療法にはいくつかの資格制度があり、音楽を活用した芸術療法の一種です。

社会福祉施設でのケア・支援

 社会福祉施設では、高齢者・障害者・社会的支援を要する利用者などに支援を行う場合、①カウンセラーなどによるカウンセリングや心理療法などの心理的ケア、②介護福祉士や看護師による介護や看護などの身体的ケア、③介護支援専門員(ケアマネジャー)による介護保険に基づいた社会的ケアなどが行われています。

また、社会福祉制度に基いた支援給付が行われる場合、市町村では2003年からスタートした支援費制度による支援を実施しています。

支援費制度は、利用者の意思や自己判断を尊重し、利用者本人が利用したい事業者を選択して契約を結び、介護・福祉各種サービスを利用できるようにした制度です。

支援費用については、市町村へ福祉サービス事業者が代理で請求し受領することになっていますが、利用者が自由にサービス事業者を選定できるので、事業者同士で競争原理が働きサービスの質の向上が期待できます。

さらに、外部支援としては、行政サービス、民間サービス、民間ボランティアなどがあります。

高齢者の身体機能を疑似体験しカウンセリングに活かす

 老人ホームや病院などではシニア・ピア・カウンセリングがよく行われるようになってきました。

これは、同じような悩みや問題を抱えている年齢の近い中高年や高齢者などの仲間同士(ピア)によって話をしたり聴いたりするいうカウンセリング方法で、自治体の中には、話し相手になるボランティアの募集を行っているところもあります。

高齢者のケアを行う場合は、本人の意思を尊重し、気持ちに寄り添うことが大切だとよくいわれます。

人は高齢になるにつれて運動能力、身体機能、感覚器官が衰えてきます。

しかし若い世代は、「おじいちゃん、しっかりしてね」などという言葉を投げつけますが、高齢者の心をすごく傷付ける結果になります。

高齢者や障害者の気持ちをよく理解する手段としては、身体機能が衰えた状態を疑似体験することが一番の近道で、心理カウンセラーとして福祉分野で働く場合は大変役立ちます。

高齢者の身体機能を疑似体験するには、次のような方法があります。

  • …アイマスクをする。色つきサングラスをかける。
  • …耳栓をする。
  • …2本の指をテープで留める。2重に手袋をする。
  • ひじ・ひざ…利き腕のひじ、利き足のひざにサポーターを巻く。
  • 手首・足首…利き手、利き足に重りをつけバランスの悪さを体験する。

 これらを実際体験してみると想像以上に自由がきかず、自分の思い通りに動作できず、もどかしさを感じると思います。

さらに認知症になれば、これに加えて物忘れなど記憶力低下も起こるのです。

介護が必要になるまで特に問題なく年を重ねてきた高齢者は、どんな状態になっても、自分の価値観や人生観、人間観などに拘りや自信を持っているものです。

仕事としてボランティアとしてカウンセリングや相談に応じる場合、高齢者の意思を尊重し関心を持って悩みや問題をじっくり聴き入れることにより、不安感をなくし本心を打ち開けれるような状況を作る努力が必要です。

高齢者自身が判断し納得できるようにするには、基本的なカウンセリング技術を習得するための学習やトレーニングは必要不可欠になります。

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