人は社会生活や対人関係を通じて様々な反応や行動を起こしますが、その時の人の心の動きや状態を心理学的観点から見るとどのようになっているのかを見ていきましょう。

心の葛藤とは

 人の心の中には、通常複数の欲求が存在しますが、欲求のレベルがどれも同じ強さであった場合、その中のどの欲求を優先して行動すればよいのか悩むこと葛藤が生じてきます。

その心の葛藤は次の3つに分類できるとドイツの心理学者レヴィンは考えました。
  • 接近一接近型
  • 回避一回避型
  • 接近一但】避型

レヴィンによる3タイプの心の葛藤とは

接近―接近型

 どちらの欲求にもプラスの感情があって悩む状態です。

具体例としては、同じくらい好きな異性から両方同時にデートに誘われた際に、どちらとデートをしようかと迷うような場合をいいます。

接近―接近型は、解決するのは簡単ですが、一方を選択した後に心残りが強くなり再度葛藤することもあります。

回避―回避型

 どちらの欲求にもマイナスの感情があって悩む状態です。

具体例としては、車で駅まで迎えに来てほしいと母親から頼まれた際、自分はその時すごく疲れており迎えに行きたくないと思うのですが、嫌だと母親に断ればいろいろ文句を言われてしまうといった場合をいいます。

回避―回避型は、我慢して行動したり上手に逃げたりしますが、そのことによりストレスを溜め込むことがあります。

接近―回遊型

 興味や好奇心はあるが、実行に移せば危険な目に遭うのではと恐怖心を生じるような状態をいいます。

具体例としては、海外旅行を自分一人だけでしたいが、もしかしたら危険な目に遭ったりするのではと恐怖心や不安を抱き旅行する事をためらうような場合をいいます。

接近―回遊型は、将来予測できる行動結果と義務感・道徳感・良心などとが心の中で混在し、深い欲求不満に襲われることがあります。

反動形成

 自分では到底受け入れがたい衝動や感情が心の中に湧き出てきた場合、正反対の衝動や感情を感じ、それを抑圧しようとする場合があります。

このように、反射的に受け入れがたい強い衝動に対して、正反対の行動を取る事反動形成といいます。

 具体例として挙げられるのは、兄弟として先に生まれた兄が、後で生まれてきた赤ちゃんに嫉妬や憎しみを感じながら赤ちゃんをことさら可愛がるのも、よくある反動形成の一種です。

なぜ兄がこのような行動を取るかと言うと、赤ちゃんに対して露骨に憎しみの態度を取ると、母親から怒られたり相手にしてもらえなかったりして、自分を拒否される場合があるので、母親からの愛情や承認を得る為に、表面上だけでも赤ちゃんを可愛がったりするわけです。

 この他にも、自分に自信が無く劣等感を強く持っている人間ほど威張りたがる傾向があります。

これは、自分の弱さを認めたくないし、他人にも知られたくないという意識が働き、その心の状態を克服するために威張ることで自分を大きく見せようとしてしまうのです。

このように、超自我(良心や道徳心)と反動形成は、深い関連性があるといわれています。

 反動形成かどうかは、不自然・大袈裟・相応しくないなどの態度・行動・性格などの傾向が見られる場合は、可能性が大きいといえます。

また、不潔な事に対して気にならないという無意識に存在する感情が、逆に意識面では潔癖になる場合もあります。

反動形成として表れる実際の行動

無意識にある衝動や感情を抑圧する為に表れる正反対の行動には次のようなものがあります。

反動形成として
表れる行動
無意識にある
衝動や感情
同情、愛 敵意、憎しみ
傲慢な性格、勝気、
強気
劣等感、自信の無さ、
無力感
清潔 不潔を気にしない
おとなしく目立つ事を避ける性格 愛されたい好かれたい気持ち
人におごりたがる・贈り物をしたがる ケチ
少食 食事への欲が深い
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